苗木城(なえぎじょう)は、岐阜県中津川市苗木にある城で、戦国時代から江戸時代にかけて活用された山城です。その特徴的な歴史や構造は多くの人に知られ、特に山の地形を生かした「岩山城」としても知られています。以下に、その歴史の概要を説明します。
1. 創建と戦国時代
苗木城は、南北朝時代(14世紀)に遠山氏によって築かれたとされています。遠山氏は美濃国東部の有力な土豪であり、苗木城を拠点に地域の支配を進めました。戦国時代には、この地域は織田氏、武田氏、そして後に豊臣氏など、戦国大名たちの勢力争いの場となりました。
苗木城はその立地から防御に優れた城であり、戦略的に重要な拠点として利用されました。特に、山の自然の岩を活かした城の構造が特徴で、天守台として使われた巨石や岩盤を削った階段などが今も残っています。
2. 江戸時代
江戸時代に入ると、関ヶ原の戦いで徳川家康に従った苗木遠山氏が引き続きこの地を治めることを許されました。苗木藩(1万石)の藩庁として、城は改修され、江戸時代を通じて城郭としての役割を果たしました。
しかし、江戸時代の城としては、石垣を多く用いる大規模な構造ではなく、簡素なつくりが特徴でした。これにより、苗木城は「木の城」とも呼ばれることがあり、質素で機能的な地方城郭の典型例とされています。
3. 廃城とその後
明治維新後の1871年(明治4年)、廃藩置県によって苗木藩は廃止され、苗木城も廃城となりました。その後、城の建材は取り壊され、一部は売却されるなどしましたが、石垣や巨石、城跡は比較的良い状態で残されました。
現在では、苗木城跡は「日本百名城」にも選ばれており、訪れる人々にその歴史や独特の風景を伝えています。城跡からは木曽川を見下ろす絶景が広がり、当時の人々が自然の地形を最大限に活用して築いた城の姿を偲ぶことができます。
4. 見どころ
苗木城跡を訪れる際の主な見どころは以下の通りです:
天守台と巨石:自然の巨大な岩をそのまま利用した天守台の遺構。
本丸跡:城の中核となる場所で、美しい石垣が今も残っています。
木曽川の眺望:城跡からは木曽川の渓谷美を一望することができます。